HOME ■無洗米とはいったいどのようなお米なのか?|前田自然農法米・自然栽培米ミナミニシキ■
無洗米とは、
研ぎ洗いすることなく水を加えて炊くだけと
非常に効率化されたお米です。
現代の忙しい方や
業務用として、社員食堂や外食産業で使用されているようです。
無洗米の歴史を見てみると
20世紀初頭には精米の無洗化処理を目的とした研米機が開発されており、
戦時中は陸軍で「不洗米」として試用もされたようです。
実際には、無洗米は普及しませんでしたが
1991年に新しく無洗米製造機と無洗米製法が開発され
徐々に普及してきたようです。
【目次】
1.無洗米とは?
2.どのようにして無洗米に仕上げるのか?
3.無洗米のメリットは本当なのか?
4.まとめ
いったい、無洗米とは
どのようなお米を言うのでしょうか?
無洗米と白米とは、
何が違うのかを見ていきたいと思います。
私達がお米を精米した時に
従来の精米機では取り切れない、
粘着性の強い米ヌカ(肌ヌカ)が残っています。
出典画像:無洗米とは?http://www.musenmai.com/staticpages/index.php/musenmai_about
白米に精米した後とはいえ
白米の周りにうっすらと肌ヌカが残っています。
精米したてのお米を洗った時に
とぎ汁が白くなりますが
とぎ汁には、削られた米ヌカとこの肌ヌカが溶け出しています。
通常、手で研ぎ洗いによって落とす肌ヌカを
工場であらかじめ落としてしまい
洗う手間を省かせたのが「無洗米」です。
どのようにして、
お米の周りに着く粘着性の高い肌ヌカを取り除くのでしょうか?
無洗米の仕上げ方が数種類あるようです。
1) BG精米製法
1991年頃に東洋精米機製作所が新しく開発した精米機にこの製法が採用されていた。
BGとは、Bran(ぬか)Grind(削る)の頭文字で
「糠で糠を取る」製法であり、
水も何も使用せずに、肌ヌカの粘着性だけを利用する方法。
白米表面にある肌ヌカの粘着性を利用し、くっつけて剥がす事で取り除く製法。
白米をステンレス製の筒内で高速撹拌し、筒内の金属壁に触れると
粘着性のある肌ヌカだけが金属壁に付着する。
この肌ヌカに他の米粒の肌ヌカが次々と付着して、肌ヌカを取り除く方法。
2) 水洗い乾燥法
水洗いで肌ヌカを除去した後に乾燥させる方法。
短時間に水洗いと乾燥をする。
大量の水を使用するために大掛かりな汚水処理設備を必要とする。
3) タピオカ式 :NTWP(Neo Tasty White Process) 加工法
白米に水を加え、肌ヌカと水が混じったものをタピオカ澱粉で付着させる方法。
白米に5%の水を加え、加圧して撹拌し、白米表面の肌ヌカを柔らかくする。
そこに高温に熱した粒状のタピオカを加え(米重量の50-100%)、
そのタピオカに肌ヌカと水の混じったものを付着させて肌ヌカを取り除く方法。
タピオカの加工コストが高いという欠点と
タピオカの加熱にボイラーが必要となる。
4) 乾式法
ブラシ等で糠を取り除く方法。
水を使用しないので乾燥工程が要りませんが、肌ヌカを取り切れないこともある。
これまで手でお米を研ぎ洗いをしていたのに
設備を用意してまで、
事前に工場で肌ヌカを取る「無洗米」のメリットは、何でしょうか?
無洗米の情報を見てみると
大きく分けて4つのメリットが挙げられています。
1) 家事の時短
2) 水道代節約
3) 栄養分が流れ出ない
4) 水質汚染防止
さて、これらのメリットは、実際どうなのでしょうか?
1)家事の時短
米の研ぎ時間が確かに削減できます。
時間の無い方、作業効率化が必要な場所にはありがたいお米でしょう。
2)水道代節約
一回のお風呂に使う水の量を考えれば、
そこまでメリットとして挙げれるのか疑問です。
お米を研ぐ間、水の流しっぱなしの人には多少節約できるかもしれません。
3) 栄養分が流れ出ない
研ぎ洗いした後の手洗い白米と比べると
水溶性のビタミンB系(B1やナイアシン)は水で研いでいるうちにかなり流れると言います。
しかし、よく考えると
お米の栄養分は、胚と米ヌカに集中しています。
玄米と白米の栄養分を比較すると
ミネラル分は、約1/3に減り
ビタミン類は約1/5程度まで減ります。
つまり、
玄米の胚芽や米ヌカ層にビタミン、ミネラルが含まれています。
白米にした時点で
栄養価が20-30%に減ります。
無洗米は、さらに
白米の周りに着く肌ヌカまで
取り除いてしまいます。
白米を研いだ時に
水溶性のビタミンB系が流れるという事で栄養分に視点を当てていますが、
9分搗きで、少し米ぬかと胚を残した方がよっぽど栄養価は高いのではないでしょうか?
無洗米は
白米よりもさらに米ヌカを取ったお米であり、無洗米にした時点で、栄養分は期待しない方が良いのではと思います。
4) 水質汚染防止
お米のとぎ汁には、
リンや窒素などの栄養分が多く含まれて、浄化が難しく
赤潮やアオコなどの発生原因となっていると言われている方もいます。
実際にとぎ汁が
及ぼす影響とはどれくらいなのでしょうか?
水質汚染の原因は
有機物を河川に垂れ流すことにあります。
しかし、河川に流れ込む前に
下水道処理場を通過します。
下水処理能力の高い下水処理場では、窒素の47%、リンの66%を処理します。
下水処理場で処理される前の排水は
家庭排水、畜産排水、工場排水とありますが
平成21年度で愛知県環境部で調べたデーター:発生源別に見た汚れの割合を見ると
出典:生活排水を考える 生活排水とは
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizu/0000049169.html
窒素の排出量
家庭排水:47%
工場排水:21%
家畜・農業排水:32%
リンの排出量
家庭排水:48%
工場排水:26%
家畜・農業排水:26%
さらに
家庭排水の割合を見てみると
台所の占める割合は45%です。
さらに
とぎ汁が与える影響を見てみると
無洗米にすることで、とぎ汁が無くなりますが
水質汚染防止に繋がると言える影響があるのか疑問の量です。
また、
無洗米にするためには
工場等必要設備が必要となり
製法によっては、大量の水と燃料が必要となります。
無洗米は、環境に良いと言っていいのかが疑問になってきます。
無洗米の本当のメリットを考えると
手間が省け、効率化になる。
結局この一点のみではないかと思います。
もちろん、
効率化を最重要視する所もあるでしょう。
そのような場所では、
無洗米の存在価値もあるのかと思います。
一方、
その効率化と引き換えに
白米よりさらに肌ヌカが取り除かれ
栄養分的にみると期待はできないでしょう。
歴史的に見ると
白米が普及した江戸で健康被害が発生しています。
江戸時代に、江戸の町で白米を食べる習慣が普及し、
ビタミン欠乏のため脚気が流行しました(江戸患い)。
地方の武士や農民は、玄米や分搗き米、麦を食べていたので
ビタミン不足にはならず、脚気にはなりませんでした。
1990年代に入り、無洗米にすることで
さらに白米から肌ヌカを取り除くわけですから
食べ物としてのお米の価値はどれくらいあるのだろうかと疑問に思います。
現代では、
お米を食べる割合が減り
他の食事から栄養分を摂りますので栄養不足にはならないかもしれません。
しかし、元来、
私達はお米から
生命エネルギーを取り入れてきた民族です。
命が芽生える胚芽(栄養分的にビタミン・ミネラルが多い)
お米の周りを保護する米ぬか(栄養分的に食物繊維が多い)を
同時に摂取することは、栄養面も含め大事なことではないかと思います。
私達は、いったい何のために食べ物を食べるのでしょうか?
単にカロリー摂取してお腹を膨らますためでしょうか?
もしくは、
食べ物の命を分けてもらい、自分たちの命の糧にすることでしょうか?
どちらでも
人それぞれ価値観が違いますので自由なのですが
無洗米から改めて食べ物について考えさせられました。
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