私たちは、熊本県玉名市で
無農薬・無肥料の自然栽培米ミナミニシキを育てています。
生産者の前田英之さんは、
農薬・肥料を15年以上使用していないので自然栽培歴15年以上の経験があります。
ミナミニシキは、昔のお米の特徴を引き継ぐ晩成品種で希少な品種ですが、このミナミニシキの苗作り(苗床作業)が5月に行われます。
今回は、自然栽培米ミナミニシキのこだわりの苗作りの一連の作業をご覧頂ければと思います。
こだわり1. 播種に使用する育苗土
私たちは、お米の栽培において
農薬や肥料を一切使用しておりません。
そのこだわりは、育苗土にまで及んでいます。
種まきに使用する育苗土も
肥料を含まない山土を使用しています。
一般には、肥料を加えたり、薬剤で殺菌処理している育苗土もあるそうですが
前田自然栽培米ミナミニシキでは、肥料も薬剤も加えていない山土を使用しています。
こだわり2. 自家採種のミナミニシキ
私達がお届けしている自然栽培米は
ミナミニシキという珍しい品種ですが、
自然栽培で自家採種を30年以上続けてきた非常に貴重な種籾で育てています。
自家採種とは、農家自身が自ら生産した作物から種籾を採取することです。前年種どりしたものを今年使用するのですね。
こうすることでその土地に適応した種となり、病気や寒さ暑さにも強くなるといわれています。
上写真は、播種直前の状態です。
一般的な播種前の種籾と異なる点にお気付きでしょうか?
よく見ると
芽出しという催芽処理をしておりません。
催芽とは、播種前に水に浸け発芽を揃える処理のことを言います。
通常は、ぬるま湯程度に20時間ほど種籾を浸水させ
一斉に発芽させて、種籾の発芽状態を人為的に揃えます。
しかし、自然栽培米ミナミニシキでは、
より自然な状態に近づけるため
催芽させずに苗箱に播種し、そのまま苗床で発芽させます。
通常は、発芽も成長も不揃いになるので
催芽させずに播種をする米農家さんはいません。
しかし、前田さんは自然栽培環境下で
自家採種してきたミナミニシキの種籾の強さを信じ
田んぼの水で発芽させることが大事だと考えています。
ミナミニシキの播種の流れ
自然栽培米農家の前田さんが行っている播種の流れでは、まず育苗箱に山土が入ります。
その後、写真のように育苗箱に水がまかれます。
水がまかれた後に
催芽されていないミナミニシキの種籾を撒きます。
催芽処理をしていないため発芽しない場合も考慮して多めに撒いていますね。
播種後にさらに山土を被覆して、完成です。
既に毛管現象により水が表面に上がってきていますね。
育苗箱の設置
この育苗箱の設置が最も労力のかかる作業です。
播種した育苗箱を並べていくのですが
1500枚以上ありますので、とても大変な作業なのですね。
この苗箱の設置作業も改善に改善を重ねているので
昔に比べたらとても楽です。
この苗箱を並べる作業が大変なために
手伝ってくれる人が楽に作業できるようにこの苗床を乾かして固めているのですね。
今も多くの人が水を張った苗床に
苗箱を設置していくのが通常の方法です。
前田さんも10年前までは、下の写真のように
柔らかくなった苗床に足を取られながら設置していました。
思うように動けないので大変なのですね。
今では、乾いた土の上に苗箱を設置していくので楽な作業です。
最後に、苗床全体にネットをかけて完了です。
一般には苗箱の上に保温・保湿性を上げるため
ラブシート(不織布)を被せるのですが
通気性の良い鳥よけネットだけを被せました。
こうすることで、より自然の状態に近づけることができると言います。
この苗床作業終了後、田植えまで1ヵ月-1.5ヵ月です。
苗が元気に成長するように見守りたいと思います。
こちらの動画では、ミナミニシキの苗床作業の独自の特徴について前田さんにお尋ねしました。
ミナミニシキの苗床作業の特徴とは?
前田さんは、無農薬・無肥料の自然栽培自体が他の方とは栽培方法が異なるのですが、さらに播種作業も苗床作業も他の方とは異なります。
独自のこだわりを動画から感じて頂ければ幸いです。