こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
発芽玄米とは、玄米を水に一定時間浸し、発芽させた玄米です。
通常の玄米をそのまま炊くと、ボソボソした食感となり、美味しくありません。
しかし、玄米をしっかり水に浸けて発芽玄米にすることで、ふっくらした食感になるだけでなく栄養価も増加して玄米食を楽しいものに変えてくれます。
昔の日本人は、寝る前に玄米を吸水させ、朝に一日分を炊いていたと言います。自然と発芽玄米になるような食べ方をしていたのでしょう。
発芽玄米を作るのは、決して難しい事ではありません。今回は、発芽玄米を作るポイントについて解説します。
発芽玄米とは!?
玄米は、胚芽とぬか層、胚乳から構成されています。
玄米の構成と主要は下記のようになっております。
胚芽:3% 主にビタミン・ミネラル
ぬか層:5% 主に食物繊維
胚乳:92% デンプン、糖分
玄米を水に浸けると玄米に含まれるの酵素が活性し、発芽開始します。
この発芽活動の途中で、もともと玄米には少ない栄養素が増加することが知られています。それがGABA(ギャバ:γ―アミノ酪酸)です。
このGABAの存在で発芽玄米は有名になったかもしれません。
玄米に含まれるグルタミン酸が発芽時の酵素によって分解されGABAが生成されます。玄米の3-5倍ほど増加すると言われています。
GABAは、脳機能を活性や、抗ストレス作用があると言われており、現代人にはありがたい成分です。
水に浸けて発芽させた玄米は、柔らかくなり食べやすくなるだけでなく、栄養価としても増加するありがたい玄米なのです。
発芽玄米の作り方
発芽玄米というと特別なものに聞こえますが、玄米を発芽させるだけです。昔の人がしていた方法なのでシンプルです。
発芽玄米の作り方を順をおって説明いたします。
玄米を選ぶ
まずは、玄米選びからです。
スーパーでは、白米など精米されたものがほとんどですが、たまに玄米もございます。
発芽玄米用の玄米として、発芽することが必須条件です。
一般には発芽率は90-95%程度ですが、これは収穫後の乾燥方法によって異なります。
米農家さんによっては、効率化を重視して50度前後の熱風で早急に乾燥をさせる方。発芽を維持させるために40度前後で12時間ほどかけてゆっくりと乾燥させる方といます。
高温で乾燥させると発芽に影響する可能性があるのでなるべく低い温度でゆっくり乾燥させた玄米が良いです。
また、私たちは無農薬の玄米をおすすめしております。
農薬の成分は、玄米の胚芽とぬか層に残りやすいと言われています。胚芽・ぬか層は玄米の有益な栄養素が含まれる部分なので、このぬか層に不自然なものを含むことがないように無農薬栽培の玄米をおすすめしております。
玄米を水に浸ける
玄米を水に浸ける容器は何でも良いですが、水に浸ける時間は、下記を参考にして下さい。
夏場:6-8時間
冬場:8-10時間
※室内の温度にもよります。
玄米は10℃以下になると発芽しにくい傾向にあり、発芽を促すには、15℃以上に保つ必要があります。
通常、水に浸けた時点で発芽活動が開始されます。
※先述した栄養素GABAは、浸水後4時間ほどでピークに達すると言われています。
昔の人がしていたように夜寝る前に玄米を水に浸けて、朝に炊飯する習慣にすれば、浸水時間は6-8時間ほどは確保できます。
夏場などは、浸水後ににおいがある場合があるので、炊く前に綺麗に玄米を洗って下さい。
発芽玄米の状態とは
浸水してから6時間の玄米の状態です。
胚芽の部分がプクッと膨らんでいるのが分かります。
この状態ですでに発芽状態に入っているので炊飯することができます。
上写真は、24時間浸水した玄米の状態です。
もちろんこの状態でも炊飯はできます。8時間以上浸水する場合に注意することは、水の交換です。水を交換しないとにおいが玄米に付くことがあります。特に夏場は8時間ごとくらいに玄米を浸している水を交換されて下さい。
発芽玄米を土鍋で炊く
今回は、長谷園の土鍋かまどさんを使用して発芽玄米を炊きました。
かまどさんは、二重蓋となっており、非常に簡単な火加減で玄米を炊くことができるのでおすすめの土鍋です。
発芽玄米の基本の炊き方
※玄米2合の場合
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1.吸水させた発芽玄米を洗う
2.玄米一合に水300cc、天然塩小さじ1/4
※発芽玄米の場合、吸水させているので270ccほどで良い。
3.中火で28-30分
※蒸気が出て13-15分
4.30-40分蒸らす
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炊飯する玄米の量によって炊飯時間が変わりますので下記をご参考にして下さい。
吸水させた発芽玄米に塩を入れる
発芽玄米の炊飯時の水の量は、玄米一合(180cc)に対し、270㏄と1.5倍ほどを目安にすると良いでしょう。もっちりした食感を味わいたい場合は、少し水を多めに。水加減はお好みで微調整しましょう。
発芽玄米を炊く際には、天然塩を目安として一合玄米に対し小さじ1/4ほど入れます。
玄米は、精米したお米と違いカリウムが含まれます。
このカリウムは高血圧予防、便秘への働きかけ、老廃物の排泄の手助けなどに効果がある成分ですが、独特の苦みが出る場合があります。
塩を入れることで、塩に含まれるナトリウムが作用しカリウムの苦みが消えて美味しく炊くことができます。
火加減は中火
土鍋によって火加減は異なります。
かまどさんの場合は、非常にシンプルで2合炊く場合、中火で28-30分となります。
強く蒸気が出だしてから13-15分後に止めると良いです。
二重蓋になっていない土鍋の場合は、火加減が少し複雑です。
下記を目安にされて下さい。
二重蓋でない土鍋の場合
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1.強めの中火15分(上記が強く出てから2分くらいにとろ火に)
2.とろ火で30-40分(水がなくなってきたら強火に)
3.強火で15-20秒ほど
4.蒸らし20分
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炊きあがり後のカニ穴
玄米炊飯後に蓋を開けると穴が開いています。これを「カニ穴」と呼んでいます。
カニ穴は、炊飯時に土鍋の底から強い水蒸気の泡が下から上り、玄米を押しのけてできた水蒸気の通り道です。
つまり、カニ穴ができるということは、土鍋の中でしっかりと対流されて満遍なく火が通って、ふっくら炊きあがっているサインです。
発芽玄米の味わいを楽しむ
吸水させた発芽玄米は、ふっくら感があり、食べやすいと感じるでしょう。
また、おこげがつくと香ばしさが増し美味しいですよ。
おこげは、炊飯時間を少し(1-2分ほど)長くしたり、最後に強火にするとできます。蒸気のにおいをかぎ、少し焦げたにおいがしたら即火を止めます。
また、炊飯時に入れた天然塩の味が玄米の美味しさを引き立てます。
発芽する生きた無農薬ミナミニシキ玄米
私たちは、無農薬・無肥料の自然栽培米ミナミニシキを発芽玄米用の「生きた玄米」としてお届けております。
自然栽培米ミナミニシキの農家さんは、玄米の乾燥方法にこだわっています。
現代においてほとんどの場合、収穫後の稲は機械によって乾燥されます。高温で一気に乾燥させると時間短縮で効率化できますが、一般的に高温で乾燥すると、玄米の発芽率は低下すると言われています。
自然栽培米農家さんは、発芽率を低下させず「生きた玄米」にするため、40度前後で12時間以上を目安にゆっくりと乾燥させています。
また、私たち自然栽培米専門店では、いろいろな玄米を発芽をさせて比較をしていますが、ミナミニシキの発芽の強さは特徴的です。
品種特性に加えて、30年以上にわたり、無農薬の自然栽培水田にて自家採種を続けてきたことも独自の玄米となっている理由です。
発芽玄米には、乾燥方法などを確認し、なるべく発芽する玄米を選びましょう。
まとめ:発芽玄米の作り方とメリット
今回は、発芽玄米の作り方のお話をさせて頂きましたが、発芽玄米は決して難しくはありません。
土鍋かまどさんでの炊き方は、下記となります。
発芽玄米2合炊く場合
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1.吸水(夏場6-8時間、冬場8-10時間)
2.玄米一合に水300cc、天然塩小さじ1/4
※発芽玄米の場合、吸水させているので270ccほどで良い。
3.中火で28-30分
※蒸気が出て13-15分
4.30-40分蒸らす
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発芽玄米にして食べるメリットは
・充分吸水されるのでふっくら感があり食べやすい玄米となる。
・GABAが3-5倍増す。脳機能を活性や、抗ストレス作用に良いと言われている。
また、この他にありがたい効果としては
食物繊維が豊富であることにあります。
玄米は白米に比べて6倍もの食物繊維を含みますが、この食物繊維が私たちの健康の秘訣となっている腸内環境を整えているのは言うまでもありません。