
こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
九州では、5月中旬になると、多くの米農家さんは「苗床作業」をします。
「苗床作業」とは稲の苗を作る作業ですが、稲作において最も重要とも言われる作業です。
熊本県で自然栽培米ミナミニシキを作る前田さんの田んぼでは、5/17に播種&苗床作業を行いました。
私は、色々な自然栽培米農家さんを回って苗床作業を見させて頂きますが、前田さんの苗作りは少し変わっています。こだわりが見られます。
稲の苗作りとは、人間でいうと子育てと似ているように思います。
前田さんの苗床作業で大事にしているポイントをご覧頂ければと思います。
<目次>
前田さんの播種作業風景

前田さんの播種作業の大まかな流れを説明すると
①育苗箱に山土を入れる→水を撒く→播種→覆土
②育苗箱を苗床に並べる
③育苗箱にネットをかける
①の播種をしている様子です。

②の苗箱を運んでいる様子です。

前田さんは10年くらい前まで、水の張った田んぼに苗箱を並べていました。
しかし、水を含んだ土は泥となるので、足をとられてしまい思うように動けないため苗床作業が大変でした。
そこで作業改善のために乾いた地面の上に苗箱を置くようにしたのですね。昔に比べたら格段に作業効率が上がり、苗床作業を手伝う人も楽に作業ができるようになります。
自然栽培米農家さんの中でも、苗床を乾かして苗箱を置く農家さんが徐々に増えてきています。
前田さんの播種作業のこだわり

お米作りには「苗半作」という言葉があります。
これは「苗の良し悪しで、その年の収量が左右される」という喩えです。それだけ、苗作りはお米の品質や収量に大きな影響を与えるんですね。
したがって、苗床作業は米作りにおいて最も重要であり、農家さんにとっても、とても緊張する作業なのです。

前田さんは、以下3つのこだわりを持って播種作業に取り組んでいます。
①芽出しをせずに「乾籾」のまま播種
②肥料が入っていない山土を使用
③ラブシートではなく鳥除けネットを使用
①芽出しをせずに「乾籾」のまま播種

芽出しとは、一定期間水に浸した種籾が芽を出すことです(一般に催芽処理と言われます)。
一般的に米作りでは、芽出しをした方が、生育が揃うために常識となっています。
しかし、前田さんはこの芽出しをせず「乾籾」のまま播種します。
そして、苗床で種籾を発芽させるのです。
その理由を伺うと
「水道水でなく、田んぼの微生物が混じった土や水で発芽をさせたいから」と。

赤ちゃんが母親の産道を通る際に母親の微生物を受け取ると言われています。
同じように前田さんにとって、種籾がどのような微生物に触れて発芽するのかが重要なのです。
②肥料の入っていない山土を使用

播種作業では、苗を育てるために専用の育苗土を使用します。
一般的な慣行栽培では、育苗土にも肥料を加えたり、薬剤で殺菌処理を施す場合があります。
しかし、前田さんは育苗の段階から無農薬・無肥料に徹底するため、薬剤や肥料の入っていない山土を使用しています。
③ラブシートではなく鳥除けネットを使用

ラブシートとは、苗床を覆う不織布でできた白く(or黒い)柔らかいシートです。
ラブシートは遮光性・通気性に優れ、育苗時の保温・保湿維持を目的とした資材です。
苗の生育を早めれて揃えることができるので多くの米農家が使用しています。
しかし前田さんは、鳥除けの網のメッシュを使用しています。よって、成長も遅くなりますが「保温・保湿するのでなく、なるべく自然の状態に近づける」と前田さんは言います。
播種作業に必要な、種籾・土・環境。この全てを、自然に近づけるように心掛けているのですね。
最後にこちらの動画もぜひご参考ください。
前田自然栽培米ミナミニシキ
独自の苗床作業の特徴とは?
まとめ:前田ミナミニシキの独自の播種・苗床作業

前田さんは、独自の方法で播種・苗床作業をされる方です。
一般には種籾の播種の時は、催芽処理といって事前に芽出しをするのが常識です。
しかし、前田さんは「水道水で発芽するのでなく、田んぼの微生物を含む水で発芽させる」ために「乾籾」で播種をするのですね。素晴らしい感性をお持ちの方だと思います。
昨今、異常気象が多発していますが「自然に任せてミナミニシキを作っているので、異常気象だとしても、苗自身が環境に順応して成長してくれる」と考えています。
「自分はその年に与えられた環境で苗自身が逞しく成長するよう、手助けをするのみ」だと。
自然に近づけて栽培をしていますが、放ったらかしではないのですね。特にこの苗の時期は、人間でいうと子供の時期なので、手を掛け、目を掛ける時期なのですね。



















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