熊本県玉名市で栽培している自然栽培米ミナミニシキは
熊本県で農薬も肥料も一切使用せずに育てているお米です。
私たちは
自然栽培米ミナミニシキの
お米の力で活力溢れる日本を創っていこうと思っています。
活力溢れるお米を作るために
農薬や肥料を使用しない自然栽培や
自然栽培水田で自家採種を続けているのですが
栽培方法にも独自性があります。
前田さんの独自の栽培方法から生まれる
稲の生育初期のミナミニシキとヒノヒカリの生命力の違いを見ていきます。
自然栽培米ミナミニシキの催芽処理をしない理由
お米作りの一番始めの作業は
種籾の芽出し作業(催芽処理)です。
事前に催芽処理をすることで
均一な苗を準備できるメリットがあり、成育が揃います。
ほとんど全ての米農家さんが行っている作業です。
催芽処理の方法は
芽出しを均一化することを目的として
種籾を1週間ほど11~13℃ほどの水に浸けます。
そうすることで、同じ時期に芽を出してくるのです。
教科書に載っているほどの
常識化された作業の一つです。
催芽を行うと
良質で均一な稲の成長が期待でき
田植え後も苗の成長が揃ってくれることが期待できます。
そのためほぼ全ての米農家さんは催芽をします。
しかし、自然栽培米農家の前田 英之さんは
この催芽処理を行いません。
下の写真のミナミニシキの種籾を
催芽をしない状態で育苗箱に播種します。
ミナミニシキの種籾を播種した育苗箱を
苗床に、水をはらずに育苗箱を設置していきます。
通常のお米農家さんは
水をはった苗床に育苗箱を設置していきますので
これも、前田さん独自のこだわりの方法です。
前田さんは、苗床でミナミニシキの種籾を発芽させているのです。
さて、ではなぜ前田さんは
事前に催芽処理を行わないのでしょうか?
前田さんにその理由を伺ってみました。
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私「通常の米農家さんは、事前に催芽処理をするのに、なぜしないのですか?」
前田「通常は、水道水を使って1週間ほど水に浸けるったい。ばってん自分は、苗床に水をはってそこで発芽させることが大事と思うとやんね」
私「何か違いがあるんでしょうか?」
前田「苗床の水には、自然栽培米水田の土着菌の作用があると思うったい。
種籾にとって始めに触れる水は、人間でいう母乳と同じやけん、水道水でなくて、土壌微生物達がいる田んぼの水で発芽させることが大事ったいね」
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自然栽培米水田の苗床の水は、
お母さんの羊水のようでもあり母乳のようでもあります。
母なる大地にはった水で
種籾を発芽させることは、
成育が不均一になるのでほとんどの米農家さんはしませんが
種籾が最も初めに吸収する水ですので意味があるように感じます。
このような方法で発芽するのか?と初めは疑問に思いましたが
不均一ながら発芽はしてくれます。
自然栽培米農家の前田さんは、
「自家採種しているミナミニシキだからできるんだよね」と言います。
前田さんは、
母なる大地、そこに住む土壌微生物の力
自然栽培米水田で自家採種しているミナミニシキの力を
信頼しているのが分かります。
ミナミニシキとヒノヒカリの違いを系譜図から見る
自然栽培米農家の前田 英之さんは
全面積ミナミニシキを栽培していますが、
九州で最も栽培されているのはヒノヒカリです。
このミナミニシキとヒノヒカリの違いを
系譜図から見てみましょう。
・ミナミニシキ
ミナミニシキは、
1967年に宮崎県総合農業試験所で誕生しました。
1967年-1975年の育成期間を経て、
1975年に世に出ました。
父に秋晴、母に南海43号(トヨタマ)を持ちます。
現在栽培されている多くの品種は、
コシヒカリの遺伝が入っているのですが
系譜図を見ると
ミナミニシキは、コシヒカリの遺伝が含まれていません。
そのため、食味に大きな違いがあります。
ヒノヒカリ等のコシヒカリ系のお米は
甘味や粘りを感じるお米ですが
ミナミニシキは
甘味が少なく、あっさりとしたお米です。
ミナミニシキの栽培面積を見てみると、
1986年には、全国で3.5万ヘクタール作付され、
全国作付順位11位まで伸びました。
1985年には、
熊本県内の13.2%がミナミニシキが栽培されたと記録が残っています。
しかし、2000年のデータでは
全国作付面積順位327位となり
ほとんど栽培されておらず、熊本で一部栽培されているのみです。
熊本県での栽培面積も0.5%以下と言われています。
平成27年度の熊本県の稲作作付全面積が35,600ヘクタールですので、
ミナミニシキの栽培面積は、180ヘクタールほどと思われますが
現在では、もっと栽培面積は減っているかもしれません。
・ ヒノヒカリ
ヒノヒカリは、九州を中心に栽培され
日本で作付面積第3位となっている有名品種です。
1989年に宮崎県総合農業試験で
父にコシヒカリ、母に黄金晴を持つ若い品種です。
ヒノヒカリは父にコシヒカリを持つことから
食味の良さが評価され、九州で一気に栽培面積が広がりました。
全国での稲作作付面積は約150万ヘクタールですが
その内の約10%はヒノヒカリが栽培されており
約15万ヘクタールが作付されています。
1980年代頃から
コシヒカリが美味しいお米の代名詞となり
甘味や粘りのあるお米が重宝されるようになりました。
それに伴い、コシヒカリ系の遺伝を含まない
あっさり系のミナミニシキは
米農家さんからも遠ざかり、栽培する米農家さんは減りました。
しかし、熊本県の一部の自然農法家が
このミナミニシキの生命力に注目していました。
粘りや甘味を追求したお米ではないけど
生命力のあるミナミニシキこそが、人を元氣にする本物のお米だと信じ
自然栽培水田で自家採種して種籾を残していました。
自然栽培米ミナミニシキ VS ヒノヒカリ 苗の成長力
前田さんが苗作りをするときに
自然栽培米ヒノヒカリを育てている米農家さんが
一緒のタイミングで播種して
同じ苗床に苗箱を置かせてほしいとお願いがありました。
下の写真は、
播種後4週間ほどたった時の写真です。
写真で違いがお伝えできれば良いのですが
同じ期間、同じ条件で育っていますが
右側のミナミニシキの成長力が強いです。
九州の自然栽培米農家がこの生命力の違いに着目して
自家採種を続けてきたのが分かりますね。
前田さんが、農薬・肥料を使用しない自然栽培環境で
かつ催芽処理をせずに播種をしたりとできるのは
このミナミニシキの生命力を信じているからなのです。
下の写真は、
収穫後のミナミニシキ玄米の発芽実験を行った際の写真です。
左側:玄米
右側:浸水後2日後の玄米
浸水後、6時間後には、胚がプクッと膨れてきて
浸水2日後には上写真のように胚芽から芽が出ています。
左側:玄米
右側:浸水10日後の玄米
ミナミニシキの生命力を見るために
浸水10日後の状態を見てみました。
胚芽から芽が長く伸び、
その横から透明に近い根が出ているのが分かります。
熊本の自然農法家が
食べた方が元氣になり活力が溢れる本物のお米を追求して辿り着いた
農薬も肥料も使用しない前田自然農法米ミナミニシキです。
独自の栽培方法で育てたミナミニシキの生命力を
食べられた方の生命力の糧にして頂ければと思います。