苗半作(なえはんさく)という言葉をご存知ですか?
お米作りに携わったことのない人には、聞きなれない言葉かもしれません。
苗半作とは、苗の良し悪しによって
その年のお米の収穫量が、半分は決まってしまうということです。
つまり、良い苗を作らなければ収穫は見込めないということ。
それくらい苗作りは、重要な作業なんですね。
お米作りはまず、苗床(なえどこ)を作ることから始まります。
次に、そこへ種をまき(播種=はしゅ)
種から芽が出てある程度育ったところで(育苗=いくびょう)
田植えをします。
苗床作りは、5月頃から始まります。
無農薬のミナミニシキを熊本県玉名市で栽培している
前田英之さんの田んぼにも、苗床作業が行われました。
そもそも苗床とは?
苗床とは、種をまいて苗を生えさせ育てるところです。
種が芽を出し、元気に育つためのポイントは…
・置き場は水平な地面
・水量管理の調節
・良好な日当たり
・風当りがない
日々変化する自然のもとに直接さらすのは
デリケートな苗の芽にとって、その後の育苗が厳しいものになります。
芽が元気に育つよう細やかに管理し
苗にとって最高の環境を作り続けることが重要です。
無農薬ミナミニシキの苗床作業を行いました。
熊本県玉名市で無農薬のミナミニシキを作っている前田英之さん。
ミナミニシキの栽培は、令和二年で14年目に突入しました。
作り始めたときから今まで、無農薬・無肥料を徹底し
安心安全のミナミニシキを全国の食卓に届けてきました。
令和二年度のミナミニシキの苗床作業は
雲一つない晴天の5月某日、行われました。
前田さんの苗床には
昔から山土を使用しています。
無農薬・無肥料のお米を収穫するためには
苗においても、肥料の含まれていない土で育てることが重要だからです。
さらに、一般的に播くときに使用する水は水道水を使いますが
前田さんは、田んぼの水のみを使用しています。
苗床にまかれるお米の種を種籾(たねもみ)も
すべて自家採種されたものを使用しています。
苗床と土と種籾。
すべてそろったところで、いよいよ種を苗床にまく作業に入ります。
まず、土が入った苗床に機械で水がまかれ
その後種籾がまかれてゆきます。
籾種をまいた後は、さらに上から山土をかぶせます。
これで完成です。
そして、苗床を渇いた土の上に設置します。
ずらりと並ぶ苗箱の数なんと1500枚。
5年前までは、水を張って苗床作業をしていました。
今はこうして渇いた土の上で行うので足がとられず楽になりました。
最後にシートをかぶせますが
これまで前田さんは、ラブシート(不織布)を使用していました。
しかし今年は、鳥ネットのみ。より通気性を良くすることで
苗にも新鮮な空気を与えることができるからです。
無農薬ミナミニシキが今年度も力強く育つことを願って…
昨年は、台風の影響で九州のお米の収穫は、非常に厳しい年でした。
さらにウンカの被害も例年に比べ多かったとのことです。
しかし、前田さんのミナミニシキは台風の激しい風雨にも負けず
不思議なことに、ウンカの被害にも遭いませんでした。
前田さんは、お米作りにおいて
常に進化し続けることを意識しています。
この高い意識が、ミナミニシキを活き活きと
力強いお米に育てているのですね。
令和二年度の前田ミナミニシキの成長と収穫に
ますます期待が高まりますね…!