ミナミニシキというお米をご存知ですか?
今からおよそ50年前に生まれたお米です。
現代のお米の美味しさは、粘りや甘さが決め手となっていますが
これらのほとんどには、コシヒカリ系の遺伝子が組まれています。
しかし、ミナミニシキは系譜をご覧の通り
コシヒカリの遺伝子は組まれていません。
そのため粘りや甘さが控えめで
食味はあっさりとしています。
この“あっさり”が、体にはとても優しく
さらには医学的な面からも期待されているんです。
ミナミニシキの魅力と
秘められた健康パワーについてご紹介します。
ミナミニシキは九州の一部地域でしか作られていない
“九州のヘソ”ともいわれる熊本県は
昔から美味しいお米が作られてきた米所として有名な地域です。
ミナミニシキは、およそ50年前に宮崎県で生まれたお米です。
熊本では、昭和50年(1975年)に奨励品種に登録され
県内各地で作られていました。
しかしその後、コシヒカリをはじめとするお米の台頭により
ミナミニシキは徐々に作られなくなりました。
現在では、九州でも一部の地域でしか作られていません。
ミナミニシキは、現代の主流のお米とは全く異なった特性を持っていますが
江戸時代頃の日本のお米の特徴を継いでいるお米です。
その特徴とは…
①晩生(おくて)
現在九州で最も多く栽培されているヒノヒカリの収穫より
2週間ほど遅い特性があります。
それだけ長い間、土の中に根を張るということは
より多くの自然のエネルギーを稲に蓄えることでもあります。
②長稈(ちょうかん)
長稈とは、稲の背が高いことです。
この特性は、古代米である黒米や赤米にもあります。
古代米は、病気や冷害に強い品種ですが
農薬や化学肥料には弱いという点があります。
つまり、無農薬・無肥料だからこそ育つということです。
ミナミニシキも同様です。
無農薬だからこそ、力強く育つのです。
ミナミニシキを無農薬・無肥料で作っている前田さん
熊本県玉名市で、無農薬・無肥料の自然栽培で
ミナミニシキを栽培している農家さんがいます。
前田英之(まえだ・ひでゆき)さんです。
10年以上前はヒノヒカリを栽培していた前田さんは
今後、日本人に食べられ続けるお米の価値は
ミナミニシキにあるのではないかと思い始めました。
そして、ミナミニシキの力を確かめるため
一年間ミナミニシキを食べました。
すると、それまで食後に感じていた胃もたれがなく
体に活力がみなぎるのを感じました。
この経験から、自分の田んぼの全面積を
ミナミニシキの栽培に切り替えることを決意しました。
前田さんは以前、圃場整備に携わる仕事をしていたときに
田んぼの土の中に、紫色のヘドロの層を見たことがあります。
それは、長年使用されてきた農薬と肥料によって生まれたヘドロでした。
これを知った前田さんは
自分の田んぼには有害なヘドロを作りたくない
安心安全で、美味しいミナミニシキを食べてほしい、と思い
それから無農薬・無肥料を徹底しています。
ミナミニシキ玄米はさらに栄養満点で体に優しい!
わたしたちが現在食べている主食のほとんどは白米です。
白米が食べられるようになったのは奈良時代頃からと言われていますが
食べられたのはごく一部の特権階級の人たちだけでした。
それまでの庶民の主食の多くは、玄米だったのです。
庶民が白米を食べられるようになったのは江戸時代頃からです。
今ではすっかり食べられることが少なくなった玄米ですが
栄養価は白米よりもはるかに高く
多くの栄養素がバランスよく含まれています。
ミナミニシキがあっさりしているのは
アミロースという成分が多く含まれているからです。
アミロースが含まれるお米は、GI値が低いといわれています。
従って、食後の血糖値の上昇が穏やかになります。
この点が、糖尿病の食事療法に利用できるとして
アミロースを含むお米は、医学的な面からも期待されているのです。
近年増えているといわれている米アレルギーやアトピーにも良いとされ
実際に、ミナミニシキをはじめとしたお米を食べて症状が改善されたという声もあります。
無農薬・無肥料という安心安全だけでなく
医学的な面からも効能が期待され
さらには玄米という栄養満点のミナミニシキ玄米。
今後ますます価値あるお米として、注目が高まる予感がします。