ミナミニシキは
1967年に宮崎県総合農業試験場で南海43号(トヨタマ)×秋晴から生まれ
1967年-1975年の育成期間を経て、1975年に世の中に出たお米です。
ミナミニシキの特徴はあっさりとした食味にあります。
現在出回っている多くのお米には
モチモチとした粘りが特徴のものが多いですが
これらのお米のほとんどには、コシヒカリの遺伝子が組まれています。
しかし、系譜をご覧の通り
ミナミニシキにはコシヒカリの遺伝子は組まれていません。
ミナミニシキの、昔ながらの体になじむ優しい味わいは
現代に生きる私たちの食生活にこそ相応しいお米といえます。
ミナミニシキがあっさりしているのはなぜか。
ご紹介します。
ミナミニシキは今では希少なお米
宮崎で誕生したミナミニシキですが
今では熊本県の一部でしか作られていない希少なお米です。
1985年には13.2%の栽培面積を誇りましたが
今では0.5%以下となっています。
なぜ、これほどまでにミナミニシキの生産が激減したかというと
モチモチした粘りのあるコシヒカリが人気を博し、台頭したからです。
しかし、わたしたち日本人が本来食べてきたお米は
ミナミニシキのようなあっさりしたお米だといえます。
それは、お米の歴史が証明しています。
江戸時代の人は、一日に5合ものお米を食べていたといわれています。
あっさりしていなければ、5合という量のお米は食べられないでしょう。
そして、どんなにモチモチしたコシヒカリのようなお米でも
自家採種を続けてゆくと、あっさりしたお米に変化してゆく点も挙げられます。
つまり、あっさりしたお米が私たち日本人の体にあった
本来のお米といえます。
ミナミニシキのあっさりした食味を作り出している成分とは
お米は、2種類の性質の異なった成分からできています。
アミロースとアミロペクチンという成分です。
この二つの成分の割合が、お米のモチモチした粘りを作り出しています。
うるち系では、アミロース:アミロペクチンが2:8
もち系では0:10です。
つまり、アミロースが多いと糖度が低く
程よい硬さ・あっさりした食味になる性質があり
アミロペクチンが多いと
もち米のように粘りと甘さが多くなる性質があるのです。
ミナミニシキはあっさりしているので
アミロースが多く含まれています。
実はこのアミロースが
現代の食生活において、重要な役割と効果を秘めていると考えらているのです。
ミナミニシキが秘めている可能性はあらゆる疾患に効果的?
コシヒカリ系お米の中には、モチモチした粘りを作り出すため
品種改良によりアミロースを減らした
「低アミロース米」もあるようです。
しかし、このような粘りのお米を食べることで
アレルギー症状を訴える人も増えているようです。いわゆる米アレルギーです。
米アレルギーのタイプにもよりますが
特定のでんぷん質がアレルゲンとなっている場合においては
ササニシキ・ミナミニシキをはじめとした品種が
アレルギーを起こしにくいことが最近の研究で分かっています。
実際にミナミニシキを食べて
アレルギー体質だった子どもの調子が改善されたとか
アトピーの子どもにも安心して食べさせられることができるといった声もあります。
ミナミニシキのようなお米はGI値が低いため
血糖値の上昇が穏やかで、体にやさしいお米として近年注目が高まっています。
糖尿病の食事療法に利用できる食品としても、期待が高まっているお米なのです。
さらにミナミニシキは、他のお米と比べ
歯ごたえがある点も特徴の一つです。
しっかり噛んで食べることは、満腹中枢を刺激するので
食べすぎ防止にもつながります。
食の欧米化により
子どもたちの顎の筋肉の発達が懸念されている昨今においては
あごの筋肉の発達も促す効果も期待できます。
私たち日本人に古くから食べられていた
体になじむ優しい味わいのあっさりしたお米を
食生活が乱れがちな現代こそ主食として積極的に食べ
元気で丈夫な体作りに役立ててゆきたいですね。