ミナミニシキは
宮崎で生まれたお米です。
1985年には熊本県において
作付面積15%を記録していましたが
一時期品質が低下したり
甘さや粘りのあるお米が
人気となってきたことから
徐々に作られなくなってゆき
今では作付面積0.5%以下と
九州のごく一部でしか作られていません。
そんなミナミニシキを
長年、無農薬・無肥料で作られている
熊本県玉名市の前田さん。
ミナミニシキの自然栽培は
決して容易い道のりではありませんでしたが
前田さんは年々、ミナミニシキとともに
自分や自分の栽培方法も進化している
といいます。
除草のためある生き物を活用している前田さん
自然栽培は、除草剤を使いません。
したがって
手で雑草を抜く場合もありますが
いくつもの田んぼの除草を
手作業で行うのには、膨大な時間を要します。
そこで前田さんは
除草にジャンボタニシを活用しています。
昔、食用として海外から流入された
ジャンボタニシですが
今や害虫指定されているジャンボタニシ。
田植え後の柔らかい苗を食べてしまう特性があり
前田さんはこの特性を除草に生かしているのです。
ただし、ジャンボタニシを故意に
田んぼに放っているわけではありません。
あくまで自然発生したジャンボタニシです。
田んぼから排除せず
共存するという考えは
自然栽培ならではですね。
今年の夏は水害の増水によりジャンボタニシが大発生!
令和2年の九州の梅雨は
例年にない長梅雨でした。
くわえて、記録的な水害も起こり
田んぼが増水。
これにより
ジャンボタニシが大発生した田んぼが相次ぎ
これから成長が楽しみだった苗が
たくさん食べられてしまったのです。
ジャンボタニシは
一日に体重の半分の量を食す大食いである上に
繁殖力も脅威的で
多くの農家さんを悩ませています。
土の中で越冬もするので
一度田んぼの中に棲みつき繁殖すると
なかなか全てを排除するというのは
相当困難なことでしょう。
そのため、ジャンボタニシを駆除するべく
ジャンボタニシの天敵である
すっぽんや合鴨を放つ
殺虫剤、忌避剤を利用するなど
方法がありますが
自然栽培では殺虫剤や忌避剤は
使用しません。
足りない苗は手で一本一本補植
ジャンボタニシに食べられてしまったら
どうすかとるかというと
手で一本一本補植します。
先にも述べたように
令和2年は水害により
ジャンボタニシが大発生しました。
補植作業も例年になく
大変だったことでしょう。
しかし手植えには
人が土を踏むことで水が入り
酸素を根に供給する
という効果があるともいわれています。
機械植えよりも育ちが早く
分げつも多い傾向にあるといいます。
(機械植えと手植えの違いについてはこちらから!)
ジャンボタニシに食べられても
収量が安定しているのには
これらの理由も関係しているでしょう。
まとめ
これからいよいよ
前田自然栽培米ミナミニシキは
収穫を迎えます。
九州ではすでに稲刈りが始まっていますが
ミナミニシキは晩生品種なので
稲刈りシーズンは遅い傾向にあります。
令和2年は、水害にくわえ
ウンカも大発生していますが
前田さんのミナミニシキは
たくましく育っているようです。
今年のミナミニシキの新米が
非常に楽しみですね!